【明確な対策は?】空き家はなぜいつまでも空き家なのか①

ネズミ算式に増える相続人

街中で、荒れ放題の空き家を見かけることがある。
空き家となっている理由はさまざまだと思うが、
中には所有者が不明であるために、
空き家の状態が続いているものもある。

不動産の所有は、法務局にある不動産登記簿で確認ができる。
しかし、登記簿上の所有者が死亡しているなどして、
現在の所有者が不明になっている不動産も多いのだ。

なぜ登記簿に現在の所有者の名前が載っていないのか。
『人口減少時代の土地問題』の著者、
東京財団研究員の吉原祥子氏はこう解説する。

日本では不動産の権利の登記は任意です。
登記には手間やお金がかかるので、不動産や相続や
売買で取得した人が登記の必要性を感じず手続きをしなければ、

登記上は前の所有者の前のままとなり、実態とズレが生じてしまう。
相続の場合は代が進むとさらにズレが広がり、
誰が現在の所有者なのかすぐには分からなくなります。

相続では、“法定相続人”がネズミ算式に増えるので、解決はますます困難になるのだ。

権利の登記が任意なのは、日本の不動産登記制度が
フランス法の考え方を取り入れているからだ。

フランス法では第三者に『ここは自分土地』と
権利を主張するためには登記を必要とする、
という考え方となっています。
ドイツ法のように登記しないと権利の変動そのものが
成立しないという考え方もありますが、日本では採用されていません。

空き地発生の推移

     平成10年         平成15年
124,512ha  →  130,687ha
注:空き地とは、現況が「農地」「林地」「道路用地」等以外の
「宅地など」の土地のうち、「特に使用していない土地」

空き家・空き地や閉鎖された店舗などが目立つこと等から、国民の意識としても、
最も身近に感じる土地問題として、空き地・空き家の問題が認識されているとの結果。

 

国土交通省『空き地・空き家等外部不経済対策について』より抜粋
http://www.mlit.go.jp/common/000042301.pdf