中古住宅の断熱リフォーム 空気の層を作って断熱!内窓設置工事

こんにちは。新緑の眩しい季節となりました。季節外れの寒さや暑さの日々が続きますが、体調管理に気をつけ清すがしい季節を楽しみたいものですね。

前回は中古住宅の断熱リフォームについてお伝えしました。

 

続きの窓の断熱リフォーム 「内窓設置工事」についてお伝えします。

最近、ハウスメーカーでは、高断熱・高機密を考慮し窓を敢えて小さめにしたり、必要最小限の設置にとどめ、出窓や装飾窓も推奨していない様です。

確かに高断熱、高機密には惹かれますが、そのために窓を削ってしまうのは少し淋しい気がします・・・

日差しがたくさん差し込むお家は、明るく開放的で清潔感がありますし、大きなテラス窓の暖かなリビング!やはり憧れます。

私たちが快適に、心地よく暮らすためには、採光、通風、眺望と様々な点で窓はなくてはならないものですよね。

 

この様な流れのある中、大きな開口や出窓、装飾窓を持つ中古住宅の魅力は益々高まって行くかもしれません。「窓の断熱リフォーム」によって、窓からの熱の出入りを少なくするための対策をとり、より快適な住まいを作れると最高です!

そこで、最適なのが今回お伝えする、簡易的に低コストでしっかりと断熱効果をもたらしてくれる「内窓設置工事」です。

 

内窓が断熱性能を高める仕組み

①既存窓と新設の内窓の間にできる空気層が熱を伝えにくくし、断熱効果を高める。(意外な感じもしますが、「動かない空気」は熱伝導率が非常に低くいのです!)

②室内側の新設の内窓が、樹脂サッシ製(アルミサッシの1000倍熱を伝えにくい)となるので断熱効果が高まる。※既存窓がアルミサッシの場合

では、どのくらい断熱性能が高まるのでしょうか?

 

内窓設置はペアガラスサッシ以上の断熱性能

窓の断熱性能を熱の伝えやすさを示す値(熱貫流率:U値)で表すと以下の様になります。

①アルミサッシ+単板ガラス  6.51

②アルミサッシ+複層ガラス  4.65

③樹脂製サッシ+複層ガラス   2.91

④既存窓+内窓(単板ガラス)   2.91

⑤既存窓+内窓(複層ガラス)  2.33

※内窓はYKK AP プラマードU使用の場合

※複層ガラスは、中空層の厚み5mm以上10mm未満の場合の数値を表記

※単位 (W・K/㎡)

※参考:国立研究開発法人建築研究所 熱貫流率及び線熱貫流率より

熱貫流率(U値)とは、室内と室外の温度差1度に対して、1時間に壁1㎡あたりで通過する熱量の大きさを示し、“値が小さいほど熱を通しづらく断熱性能が高い”ということになります。

以上から、内窓(単板ガラス)設置④は既存窓の状態①に比べ、半分以上熱を通しにくく、ペアガラス②の半分程の熱しか通しません。また、コストのかかる樹脂製サッシ③への交換と同等の効果があると判ります!内窓を複層ガラス⑤にするとそれ以上の効果があります。

他、ガラスの種類をお部屋のニーズに合わせて選んだり(日が当たりにくい部屋:断熱タイプ、西日など日差しが気になる部屋:遮熱タイプ)、既存窓と内窓の間の空気層を多めに取る事でより断熱効果を高める事ができます。内窓を取付けると断熱効果の他にも色々といい点、また注意点があるのでご紹介します!

 

※画像:YKK AP

内窓工事のメリット デメリット

〈メリット〉

◎ 省エネ効果

エアコンの効きがよくなり、より少ないエネルギーで光熱費も削減でき、地球環境の貢献にもつながります。

 結露を抑える

内窓を取り付ける事で二重構造となり、室外と室内の温度差が軽減されるため、結露が発生しにくくなります。冬場、窓際や足下が寒いコールドドラフト現象も生じにくくなります。

◎ 防音効果

二重構造で気密性が向上し、屋外の騒音や室内の音漏れを軽減する効果があります。

◎ 防犯機能

二重窓にする事で、泥棒の侵入を躊躇わせたり、手間を取らせることで防犯機能を高めます。

◎ スピーディーで低コスト

一窓、3060分で施工可能で、窓交換工事と比べると低コストです。

◎ マンションにも取り付け可能

マンションでは、窓は「共用部」に当たるので一般的には個人的にリフォームは出来ませんが、内窓は「専有部分」の室内工事となるので、取り付けできます。

他、障子タイプ(和紙調ガラス組子障子)や欄間用、浴室用などもあり、ほどんどの窓に対応できますし、窓枠のカラーも豊富なのでインテリアの1つとしてお部屋とのコーディネートも楽しめます。

 

〈デメリット〉

◎ 窓が二重になるため、換気をする場合などに開閉が2度必要になる

◎ 内窓を取り付けた分(約7㎝程)室内側に圧迫感を感じる場合がある。

◎ カーテンボックスの場合等、施工が困難になる事もある。

◎ 出窓の一部で施工出来ないものがある

→室内壁側の枠部に取り付ける場合、出窓カウンターが使いにくくなる。

→このケースの出窓等には、複層ガラスへ交換、サッシ交換がお勧めです。

以上が挙げられます。

 

また、窓からの熱の出入りを抑えるためには、日差しを遮ることがポイントとなるので夏場は以下のことを併用するとより、断熱効果が高まります。

●グリーンカーテン

●遮光タイプのレースカーテンを設置する

●内ブラインド取付け

●外ブラインド取付け

いかがでしたでしょうか。

窓の断熱性能を上げることで、既存住宅でも断熱性能を高めることができ、「夏涼しく、冬暖かい」快適な住まいに進化させることができます。また、断熱性能が上がり、家全体の温度差が少なくなることでヒートショックを避け、健康的に住まえる環境となります。

地方自治体によっては、内窓設置や窓交換工事などの断熱リフォームに対して、補助金制度を設けている場合もありますので、気になられる方は県や市町村のHPで調べてみるのも良いと思います。