話題のナッジ ~住まいに取り入れ快適に暮らしましょう~

 

 

少し前の事になりますが、家事をしながらラジオを聞いていると気になる言葉に出会いました。

『ナッジ(nudge)』 という言葉なのですが、みなさんはご存知でしょうか?

ナッジ(nudge)とは、「ひじで軽く突く」という意味合いで、

行動経済学の分野で 『科学的分析に基づいて人間の行動を良い方向へ促す仕掛けや手法』 のことだそうです。

2017年にノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学のリチャード・セイラー教授とハーバード大学のキャス・サンスティーン教授により発案されました。

面白そうだなとずっと心に残っていたので、先日このお2人がナッジについて書いた 『実践 行動経済学』 という本を読んでみました。

専門的な言葉や、事例が米国の慣習が中心で私に取っては少し難しかったのですが、判りやすい事例も載っており興味深く読み進めることができました。

そしてこの「ナッジ」、本を読んで、もう既に“国の政策”や“企業の戦略”として私たちの生活に大きく根付いていることに気づかされたのですが、同時にこの考えを住まいでの暮らしの中に上手く取入れる事で、日々の生活をより快適に心地良くできるのでは!と うきうきしました。

 

そこで今回は、”住まいにナッジを取り入れ、暮らしを快適にする提案” をしたいと思います。

まず、ナッジについてもう少し詳しくお伝えします。

 

『ナッジ(nudge)』=『ひじで軽く突く』とは?

 

一見何でもなさそうな小さな事が、私たちの風習を大きく(良い物に)変えるというニュアンスの様です。

例を挙げるとこんなことがあります。

私たちは、日々選択の連続です。でもその選択、実は企業のマーケティング戦略によるものかもしれません。。

会社勤めのランチタイム、お昼にコンビニに行きます。色々な商品があり、よりどりみどりです。菓子パン、カップ麺、野菜やお肉等がバランス良く入ったお弁当を自由に選ぶ事ができます。

一般的に、健康を保つためにもこの中では、お弁当を選ぶのがベストな選択肢ですが、人は誘惑に負ける生き物です。甘い物が食べたい!!時間がないから簡単に食べられるものを!と色々な感情や事情もあります。そんな時、コンビニエンスストア側がある仕掛けを施し・・・店内で一番見えやすく、手に取りやすい位置にお弁当を陳列すると、それだけで人は思わず、お弁当を手にしてしまう確立が高くなるそうです。結果消費者は、健康のためにはベストな選択肢をすることができます。

また、本の中でこんな事例も面白かったです。

アムステルダムの“スキポール空港”では、男性トイレの汚さとその清掃にかかるコストが問題視されていました。

そこで、ナッジを活用し、小便器の内側に小さなハエの絵を描いたそうです。

すると、利用者はハエ(的)にねらいを定めるため、小便器が汚れにくくなりました。結果、トイレは清潔に保たれ、清掃費も8割も下がるという経済効果があったそうです。

描いた絵がハエという点もユーモアがあっていいですよね。

他にもナッジは国(米国)の政策として税金未納問題や環境問題などに効果を上げたり、企業は私たちの購買意欲を掻き立てたり、つい買ってしまうという衝動買いを起こさせ収益を上げる事に成功しています。

 

しかし、発案者のセイラー教授は、「ナッジ」についてこんな事も言っています。

○「人間の行動を良い方向へ変えるためのものであるべき」

○「強制しない(間違った選択を行う自由も残す)」

ナッジは、人の無意識の行動に作用するものなので、ロボットやクローンの開発、催眠術などと同じ様に、使われ方次第で良い方へも悪い方へも転がります。

残念ながら、国や企業は、ナッジを私たちにとって良い方向だけに使っているとは言い切れません。正しく使われるためには、個々人の倫理観が大きく関わってくると思うのですが、私たちもその仕組みについてしっかり情報を持つ事が大切な様な気がします。

その点、”住まいでの暮らしにナッジを取入れること” は、わたしたちの暮らしをもっと快適に心地よくすることにつながると思います。

もっと心地よく快適に暮らすために、家庭で活用できるナッジを考えます。

 

住まいにナッジを取り入れ、暮らしを快適にする提案

 

私が「ナッジ」の手法の中で注目した点が、

○ 人々はデフォルト(初期設定)に固執するという性質を持つ

○ 視覚的な影響を受けやすい

という点です。

ふむふむ、思い当たる点がありますね。

人は自分が選び取った訳でもないのに、始めから用意されている環境を当然の様に受け入れ、もっと良い環境があるかもしれないのに変化を受入れがたい。

では、そのデフォルト(初期設定)を最善のもの、良い行動を導くものにしておけばいいということになりますね!

以上から、家庭への活用として次のようなことを考えました。

  • ラベリングを活用し、効率よい暮らしを手に入れる〜収納への活用
  • 視覚的な作用をつかって子どもに楽しくお片づけさせる
  • 新築、住宅のリノベーションにおいて、間取りのプランにナッジを取入れ、ストレスフリー、快適な住まい造り!!

 

今回は、ナッジについての説明の方が長くなってしまいましたが・・・

次回は、上記した3点について詳しくお伝えしたいと思います。